--sosoのそそわけを始めるにあたり--
sosoを始めて10年が過ぎました。
自分たちの欲しいものを作ってそれをおすそわけのように販売できたらいいねと10年前、自分たちの作ったものをどうやって使っているかを実際に見てもらいたいこと、お店と家を区切らず生活と仕事どちらも大切にしたいことを考えて自宅兼お店というスタイルでsosoを始めました。
当時は生まれたての娘はsosoと同じ10歳になり、途中で弟も増え、お店の歴史は僕ら家族の歴史といってもいいくらい切り離せない距離感でここまでやってこれたのは僕らのこのちょっと変わった考え方を喜んでくださった方々のおかげです。
ありがとうございます。
2年ほど前からsosoの営業方針について考えることが多くなりました。
子供達が手を離れ始めたことや少し離れたところに作業場を移したこと、sosoを始めた子育てに必死だったころに比べて自分たちの時間も場所も増えてそれに慣れ始めた頃でした。
僕らはただただ好きなことや楽しいこと、素敵だと思うことに触れたくて、その時々で悩みながら考え、少しでもそのいいなと思える正体に近づけるように様々な試みをしてきました。
そんな中で僕らの好奇心はsosoという家の中の空間での試みだけでは飽き足らず、外へ外へと向かっていきました。まるで子供達が外の世界へ興味が育っていくように。
2020年末、毎年行なっているイベント「has」というイベントの特別バージョンとしてsosoではなくsosoの工房の外を使って天気のいい日だけ行いました。ある日の夜に2cmほどの積雪があったものの明朝にはすっきりと晴れ渡り、キュッと冷えた空気の中、出しっ放しの什器に積もった雪の上に器などを並べてみるとそれはそれは綺麗で気持ちの良い光景で、sosoでは出会うことのなかった新たな1ページを発見をした気分でした。
それが不定期に開催する「そそわけの日」になり、今回作った小部屋「sosoのそそわけ」につながります。
僕の作るものの良さ、いいなと思えるものの正体は何なのかをいいなと思えるものが出来る度に嬉しい気持ちと共に悩ましい気持ちをずっと抱えて考え続けていました。
先日たまたま図書館で借りた鷲田清一さんの著書の「生きながらえる術」の中の一文で「あり合わせの道具と材料でやりくりしながら間に合わせること」というものを目にしてこれまでのことが一本に繋がった気分になりました。
技術も経験も大した機械もなかった10年前、まさに僕はそんな気持ちで自分の出来ないを責めるのではなく、出来ることの中から自分のいいなと思えるものを何とか作れないかと模索しながらものづくりを始めました。
それは技巧的であったり機械で作られた精密なものと比べると不揃いで大雑把ではあるけれどなんだか自分らしくちょっと変で可笑しく愛おしい。そんな実感を大切にしながら少しずつやりたいことが増えるにつれて未経験のことや新しい技術にチャレンジを繰り返し、失敗を重ねながらも出来るも増えてくると「あり合わせ」の種類や方法が格段と増えてきました。
そういった意味でも10年とはたいしたものですよね。
きっとそのあたりのことが僕らが変わらず愛してきた感覚なんだと思うと、新たにオープンする「sosoのそそわけ」もsosoに勝るとも劣らない僕らならではの気持ちいい場所になりそうで誰よりも楽しみにしています。
これからはメインの営業を「sosoのそそわけ」で、sosoはsosoでしかできないイベントであったり、内覧のご希望があった場合事前予約制で見てみていただけるようなスタイルに変更いたします。(sosoのそそわけは様子を見ながら追々オープン日は増やす予定)
これまでよりも気軽にふらっと寄ってもらえる場所になり、少しでも多くの方に来てよかったと思ってもらえるよう次の10年を目指して頑張っていきますのでよかったら遊びに来てくださいね。
2021年10月吉日 木全俊吾